バンドのTシャツを作成することになり、安価(1,000円)で販売したいという思いから、シルクスクリーンを使って自作しました。シルクスクリーンとはどんなものか?自作Tシャツ制作の流れ、完成までをできるだけわかりやすくご紹介します。
シルクスクリーンを使ったTシャツ作成の仕組みを知る
シルクスクリーンを使った、Tシャツの自作方法は調べれば多数あったのですが、最もわかりにくかったのが、その仕組みについてでした。それがわかれば後々の作業でも失敗が少なく、スムーズにできると思いますので、まずは図解します。 Tシャツくん専用シルクスクリーンはメッシュの上に 『元は水に溶けるが、紫外線が当たると固まり溶けなくなる』 もの(図の紫)が乗っています。 (わかりやすくするためにレイヤーをわけてかいていますが、実際は裏表なく、メッシュに染み込んでいるようなものです。) その上に、透明のフィルムに絵を黒で印刷したものを載せ、それを紫外線に当てます。この作業を”露光“といいます。
黒で図を描いた場所は、透明のフィルムの文字が陰になり、紫外線が当たらないので水溶性のまま。 透明のフィルムは光を通すので、絵が書かれていない個所は、メッシュが固まり水に溶けなくなっています。
これを水で流せばフィルムに書いた絵の箇所の溶剤だけが流れ落ちてメッシュが出てくるので、ここにインクを通します。
仕組みがわかれば意外と簡単に思えます。次は必要な道具を書いていきます。
必要なものをそろえる
・Tシャツ
無地のTシャツは楽天の『無地Tシャツ専門店 Tshirt.st』さんがおすすめです!

様々なメーカーのものが取り揃えられていてサイズや素材、色も豊富。何より安いです。
Anvil等の知っているようなメーカーのものもあります。
オススメは『プリントスター』のTシャツです、色は50種類以上から選べて1枚あたり500円程度。
プリントスターはよく、インディーズバンドのTシャツで使われています。
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・シルクスクリーン(Tシャツくん)
メッシュの細かさ別で種類がいくつかあります。目が荒いものではありますが、最初は80が良いと思います。
・インク(Tシャツくん)
Tシャツに色を乗せるためのインクですね、黒や白などTシャツプリントに使われるベーシックな色以外にも数色販売されています。
・OHPフィルム
インクジェットプリンタ対応のものがあるので、通常のプリンタでも印刷可能です。
・枠(コルクボード)
作業中にスクリーンが折れ曲がってしまうと、その個所の溶剤がとれてしまうことがありますので、シルクスクリーンをピンと張るため、あと乾かすときに浮かすことができます。コルクボードのコルクの部分を外して使います。
コルクボードは100均でも売っています。
・タッカー
デカくてパワフルなホチキスみたいなもの、ホームセンターで売っています。
・蛍光灯(環境によっては別途買う必要なし)
自作Tシャツを紹介しているページでは、露光(紫外線に当てる作業)のために、水槽用の蛍光灯を購入されている方が多かったのですが、私は購入していません。あれば時間短縮にはなると思います。
・スキージ
インクを乗せる(伸ばす)際に使用しますが、この記事ではコストカットの為に定規を代用しています。
作業環境を整える
露光作業以外は洗い流す際も含めて、紫外線に当てると必要以外の箇所まで固まってしまいます。 しかし、真っ暗で作業を行うのも大変ですので、紫外線がでないLED灯の下でやるのがおすすめです。 私の部屋の証明は電球でしたので安価で交換できましたが、蛍光灯だったりすると交換も安価ではないと思いますので、スタンドライトの照明だけLEDに変える、またはiphoneのライトで照らしながら作業されてもいいかもしれません。
スクリーン板をつくる
ここからは実際の作業になります。 まずは、上記で図解した透明のフィルムづくりです。 OHP用紙に、インクを乗せたい箇所を黒にして印刷します。 (紫外線を通さないため、必ず黒にします。) 次は、シルクスクリーンをコルクボードにくっつけます。こうすることで、後に、洗う際にスクリーンが曲がって溶剤が落ちなかったり、インクを乗せる際に歪んだりせずに刷ることができます。 まずはコルクボードのコルク箇所を抜きます。だいたいのものは四隅しか固定されていないので意外と簡単に外せます。 スクリーンを枠にピンと張り、タッカーでくっつけます。
ここから露光の作業です。 シルクスクリーンにOHP用紙を置き、蛍光灯の光にあてます。 私の場合は、露光の為の蛍光灯を買わずに部屋の蛍光灯を使っています。できるだけ蛍光灯に近い、安定したところに設置します。 OHP用紙を置き、蛍光灯のスイッチをON。このまま動かさないようにして1時間露光します。
時間は環境によって大きく変わります。私の環境では15分の露光では洗ったら全部とれてしまいます。一度、小さいもので一度テストをしたほうが良いです。

私はこのような環境で行っています。
一時間後。見た目ではほとんどわかりませんが、OHPに黒で印刷した箇所の下は固まっています。

よく見ると、うっすら図柄が見えています。
洗面所まで、行く際にも紫外線に当てないように注意してください。 洗う際は、乱暴に触ってしまうと必要以上の箇所の溶剤がとれてしまいますので、弱めのシャワーなどで水圧だけで落とすのがオススメです。あまり強すぎるとメッシュが駄目になってしまいます。 写真を撮り忘れましたが、水圧だけでも十分抜けます。 これをまた、紫外線の当たらない、暗いとことで乾かします。
Tシャツに刷る
乾いたスクリーンをTシャツに載せ、上の方にインクを載せます。

これを定規で下に向けて伸ばします。

板を外すとプリントが完成。十分に乾かしたら、洗ってもインクは落ちません。

作業中の注意点
手はこまめに洗う
作業中は、気付いたら手にインクが付いてしまっていることが多々あります。インクが付いたまま、シャツに不用意に触れてしまって汚してしまうということがまれにあります。手についたものは水洗いですぐに落ちますので、こまめに手を水洗いするようにしてください。
最後に
露光時間については環境によりますので、何回も失敗してスクリーンを無駄にしてしまうよりは、最初は面倒ですが小さくカットして、露光時間のテストに利用したほうが良いと思います。 今回はバンドのTシャツとして何枚も刷る予定ですので、この方法で自作しました。 スクリーンは100回は使えるということと、刷るサイズにもよりますがインクは20~30枚分使えるらしいので20枚作るとして
- スクリーン 800円くらい
- Tシャツ 500円くらい×20枚
- インク 500円くらい
- 枠 100円
で計11,400円。一枚あたり、570円!非常にお得に作れます。 特に問題は感じていませんが、この記事を書いた時点ではまだ自作初心者ですので、今後コツが掴めれば随時アップデートしていきます。