人気サイト『オモコロ』の原稿料についての不満の漫画を、漫画家の『ぷちめい』氏がTwitterに掲載。ぷちめい氏はその後、謝罪と漫画の削除を行いました。個人的なアーカイブのため発端から流れをまとめます。
目次
ぷちめい氏が掲載メディアについて伏せた状態で原稿料についての漫画を投稿、その内容
漫画自体は削除されており、アップロードも法的な問題があるため保存していた内容から要点をまとめます。
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- ぷちめい氏が漫画家になって一年目に某ウェブ会社へ「〇〇で漫画を描かせてください!」と売り込みに
- 〇〇の編集長は「いいですよ」と返答。ぷちめい氏は、あるテーマについて全3部作で描きたいと告げる
- ウェブメディア界隈は原稿料が安いと言われるため確認、編集長は「1ページ1万円かな」と返答
- 当時、お金に困っていたため「10ページ描けば10万円もらえる!」と安堵するぷちめい氏。
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- その後、何度も打ち合わせをして1ヶ月後に11ページの漫画が完成
- 「1ページ1万円でしたよね・・・?」と確認するぷちめい氏に対して、編集長「ちがうよ”1記事”で1万円だよ」
- 「最初1ページ1万円って・・・」と驚くぷちめい氏に「そんなの言ってないよ証拠あるの?」と編集長
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- 「嫌ならうちに載せなくてもいいんですよ」と編集長はいうが、マニアックな題材で既に完成されたものを買ってくれるところなんてある訳ないと考えて「すみませんでした・・・」とぷちめい氏は謝罪
- 「作るのに1ヶ月もかけて1万円ではやっていけない」と考えて、漫画の終わりに『?』マークをつける
- その後、漫画は公開されて反響を呼ぶ。編集長からは続きを描こうと言われるも、このギャラでは描き続けるのは無理と断る
- 編集長からは『うちに載れば知名度上がって1万円以上の価値あります』から大丈夫と言われる
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- 続けて『金が必要なら借金すればいいんですよ!』と編集長、その物言いに唖然とするぷちめい氏
- それが最後のやり取りとなり、漫画の続きを描くことはなかった
- 最初に記録を残すべきだったと反省するぷちめい氏
- 自分のような失敗を若いクリエイターの方が繰り返さないよう警告
なぜオモコロのことだとわかったのか
- 11ページの漫画
- マニアックな題材
- 漫画の終わりに『?』マーク
- 漫画の続きを描くことはなかった
以上の共通点から、当漫画で描かれている記事は以下の漫画だと推測され掲載メディアは『オモコロ』では?と囁かれるように。
https://omocoro.jp/kiji/91459/
魚拓(1/2,2/2)
オモコロ編集長の原宿氏がTwitterで反応
【1/6】ぷちめいさんが描かれているこちらオモコロの話だと思うのですが、2016年当時はページ単価というお支払い方法をしておりませんでしたので、実際にお支払いした原稿料としては1万5000円(1記事原稿料)+5000円(好評だったので寸志的な額)で2万円でした。https://t.co/YBYd6dsflt
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
【2/6】2016年当時のオモコロでは記事ごとの原稿料でしかお支払いをしておらず、Webページ数で支払うという習慣もないため、僕が「ページで」ということはないかと思います。僕も「1記事で」と伝えた記憶があります。
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
【3/6】しかし、口頭で原稿料のお話をさせていただいた時に「1記事」と「1ページ」の違いが曖昧なままお伝えしてしまったのは大変申し訳なかったと思っております。2018年現在はこのようなことのないように、原稿料は事前に額を書面で残すように改善いたしました。
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
【4/6】作中の僕の態度については「証拠あるの?」「嫌なら載せなくてもいい」などの発言はしておらず、「確かにオモコロより高い原稿料で掲載して頂けるメディアがあるかもしれない」と、こちらから他メディアをご提案させて頂いた経緯はありますが、このような高圧的な態度では無かったかと思います
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
【5/6】借金に関しては確かに僕自身が昔めっっっちゃしておりまして、お金がない不安な気持ちは共感できたので、頑張ろうという励ましを込めて当該漫画の文脈とは違った形で冗談として発言したものです。
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
【6/6】また、原稿の送付をメールでしていただいた際、本文が「ち◯ぽ」と62回連続で綴ったものだったので、冗談が通じる方だと思い、電話などでも冗談を交えて会話をしてしまった面で誤解を与えてしまったかもしれません。大変申し訳ございませんでした。
— 原宿 (@haraajukku) 2018年8月21日
漫画内の『金が必要なら借金すればいいんですよ!』発言についても、オモコロ編集長の原宿氏が実際に発言したとツイートしたことでほぼ確定となります。
オモコロの原稿料が安すぎる!などの批判も一部からは出ますが、一旦置いておきましょう。
オモコロに漫画を掲載している他の漫画家も反応
その後、オモコロで漫画や記事を書いている複数の方から、オモコロを擁護する内容のツイートが出て来ます。その一部を抜粋。
ショルダー肩美氏
オモコロの原稿料、他の人は知らないけど少なくとも自分は初めに前もってメールで(当時の)金額を提示された上で引き受けてるので「原稿料安すぎる!」みたいな意見を見ると「やめなよ可哀想じゃん」って優しいギャルが出てくるね pic.twitter.com/9PjmTtW2ij
— ショルダー肩美 (@yellowishrice) 2018年8月21日
藤岡拓太郎氏
→著作権や出版権は作家が持てるということが魅力的だったし、何よりオモコロの方々やオモコロ読者に作品を読んでもらいたくて、自分はオモコロに持ち込みをしました。
よいところに着地することを願ってます。
— 藤岡拓太郎 (@f_takutaro) 2018年8月23日
長イキアキヒコ氏
オモコロを悪く言う漫画が流れてきましたが、オモコロがなかったらギャル医者あやっぺはこの世に存在しません。めちゃくちゃに酔っぱらうと手につけられない原宿さんですが、みんな原宿さんのことが大好きですよ
— 長イキアキヒコ (@sinitoma) 2018年8月21日
凸ノ高秀氏
キショ松とみくのしんは逆に金を払ってオモコロに描かせて頂けよ
— 凸ノ高秀 (@totsuno) 2018年8月21日
小山健氏
すべてのフリーランスの方へっていうので漫画家がウェブの編集者を悪い印象に描いてるやつが回ってきたけど
食い違いかもしれないことを確信のように描けるのこわいですね
そしてこういう場合は漫画で表現できる漫画家のほうがいたずらに強いと思います— 小山健★生理ちゃん単行本発売中 (@koyapu) 2018年8月21日
オモコロライターらしく、ユーモアを交えた反論が次々と。
中にはジャンプで連載をされている方や、今や売れっ子とも言える漫画家の方も。オモコロに掲載されたことから話題を呼び、その後に人気になり単行本を出しているような方が多数いらっしゃいます。
有名どころだと、オモコロでルポ漫画を描かれていたカメントツ氏、その後『こぐまのケーキ屋さん』でブレイク。
他にも、Twitterのフォロワーが100万人を超える漫画家の鴻池剛氏もオモコロが初めて原稿料を貰った仕事だとインタビューで語っています。
http://creator-mag.line.me/ja/archives/1023757740.html
初期には、いまではネットでは見たことはいないほど有名になった地獄のミサワ氏もオモコロで連載。
漫画家ではありませんが、いまや売れっ子ライターのヨッピー氏もオモコロの常連ですね。
漫画の中で『うちに載れば知名度上がって1万円以上の価値あります』という発言がありました。
この発言について傲慢、搾取だという風に感じられる方もいらっしゃるようですが、実績もあり、オモコロに対してそれだけの自信とプライドを持っているというようにも取れます。
ぷちめい氏の漫画はオチとして『原稿料は記録の残るもので確認を』という主張、自身の反省で、媒体批判ではなかったのかもしれません。
しかし、言った言ってないという日常生活によくある非がどちらにあるかが不明瞭な問題であるにも関わらず、
セリフとして『1ページで1万円』と描いたり、編集長の『借金をすればいい』という点を抜き出して相手に悪印象を与える(前者については一方的な主張)ような描き方。
媒体名を伏せているとはいえ、特定しやすいような描き方ではオモコロに対する批判と捉えられるのもしょうがないかと思います。
原稿料についての漫画をぷちめい氏が削除、謝罪
ぷちめい氏は一度、釈明文をTwitterに投稿。しかし、一旦そのツイートを削除します。
ぷちめい氏がなぜか消した釈明ツイそんまま貼る pic.twitter.com/D1POmqo5On
— two (@jg0_e) 2018年8月21日
その後にあらためて謝罪文を投稿しました。
読者の皆様へ
この度は不快な思いをさせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。オモコロさんには直接電話で謝罪し、和解させていただきました。決して会社批判のつもりではなかったのですが、私の軽率な行為により、相手方に悪印象を与えてしまいました。漫画のほうは削除させていただきました。— ぷちめい (@puchimei_twi) 2018年8月22日
個人的な感想
こちらもオモコロに記事を掲載されている小野ほりでい氏のツイートから
自分の場合ですけど、オモコロは漫画サイトじゃなくてネット記事サイトということは承知の上で原稿料と整合性保つならアイコン会話みたいな形式にしたりもしますし、それでも漫画を描くのは単に漫画描いて読んでほしいときなので「世にいう平均的な原稿料が払えないので漫画を禁止します」と言(続く)
— 小野ほりでい (@onoholiday) 2018年8月22日
われたらめちゃくちゃ迷惑なんですよね。でもインターネットの人って「誰かが搾取されてる」みたいな話大好きだから「好きでやってます」と言っても「こいつもおかしくなってる!」とか言い出すに決まってるので納得するまで説明するつもりないし、これからも漫画描きたいときは描かせてほしいですね。
— 小野ほりでい (@onoholiday) 2018年8月22日
例えば、現在はなくなったものの、かつては一部からカルト的な人気のあった漫画誌『ガロ』は原稿料が出ないということで有名でした。
しかし、ガロには前述のように熱狂的なファンが多く、ガロの掲載を登竜門として有名になった漫画家も多数。
小野ほりでい氏の言うように若者が搾取されている話が共感を得やすい、燃えやすい現在だと、こういう余地が存在しなくてクリエイターにとってはかえって活動のステージを狭めてしまうことになりかねません。
先述したようにオモコロの記事によって活動の場を得た漫画家さん、後にオモコロがきっかけで知名度を得て生計を立てている方はたくさんいらっしゃるわけで。
今回の騒動では、媒体≒他人の原稿料をバラすような行為であって他の漫画家の方にも失礼なことだなと感じます。